オーガニックとは
オーガニック(または有機)は、自然サイクルと環境に配慮した農産物や製品を指します。有機農業は科学的な肥料や農薬を使用せず、遺伝子組み換え技術を避けて生産されます。
ここでは、オーガニックに関連するいくつかのポイントを紹介します。
- オーガニックと有機栽培
- 無農薬野菜との違い
- オーガニック(または有機)を選ぶことで、期待される効果
- オーガニック(または有機)のデメリット
- オーガニック(または有機)食品が注目される理由
- SDGsの観点から期待される効果
- オーガニック食品の消費について、世界と日本の比較
- 日本においてオーガニックや有機野菜が定着しない理由
1.オーガニックと有機栽培
オーガニックと有機栽培は、食品や農産物に対して使われる言葉ですが、微妙な違いがあります。以下にいくつか説明します。
1.オーガニック
- オーガニックは英語で「organic」と表記され、主に「有機の」「有機的な」「化学肥料を用いないで育てた」「有機肥料を用いた」と日本語訳されます。
- 環境に負荷をかけずに土壌本来の生産力を発揮させる栽培方法で、農薬や化学肥料に頼らない分、安全で商品価値の高い作物が栽培できるとされています。
2.有機栽培
- 有機栽培は、主に「堆肥(たいひ)」を指します。堆肥は家畜の糞などの原料を微生物の力で分解したものです。
- 有機農産物は、農薬や化学肥料に頼ることなく、環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産されたものです。
- 有機JAS規格の認定を受けることで、有機JASマークを付ける事ができます。
簡潔に言えば、オーガニックと有機栽培は同じ意味であり、環境に配慮した農産物を指します。ただし、日本においては有機JAS規格に基づいた認定を受けた商品にだけ有機JASマークを付けることができます。
2.無農薬野菜との違い
一方、無農薬野菜は、農薬を全く使用せずに栽培された野菜を指します。ただし、現状では無農薬であることを証明できる厳格な基準規定が存在しません。したがって、無農薬野菜は農薬の使用を避けることを主な目的としていますが、厳密な定義はありません。
要するに、有機野菜は有機農法に基づいて栽培され、認証を受けたものであるのに対し、無農薬野菜は認証を受けていない場合もあります。消費者が有機野菜を選ぶ際は、認証マークやラベルに注目することが重要です。
3.オーガニック(または有機)を選ぶことで、期待される効果
- 健康への配慮:有機農産物は、科学的な肥料や農薬を使用せずに栽培されているため、農薬残留の心配が少なく、健康に良いとされています。また、遺伝子組換え技術を使用しないことも、一部の消費者にとって重要なポイントです。
- 環境への負荷の低減:有機農業は、土壌や水質への負荷を最小限に抑えることを目指しています。有機農産物は、持続可能な農業の一環として、環境に配慮した選択肢となります。
- 地域社会への支援:有機農業は、地域の農家や生産者を支援することにもつながります。地域経済を活性化させ、地域社会に貢献することができます。
- 味と品質:有機農産物は、自然のリズムに従って育てられているため、味や品質が高いとされています。
有機農産物は、これらのメリットを享受するための選択肢として、ますます人気を集めることでしょう。
4.オーガニック(または有機)のデメリット
- 価格:有機農産物は、通常の農産物に比べて高価です。有機農業は手間暇がかかり、肥料や農薬の代替品も高価です。そのため、価格が気になる方もいます。
- 生産量の制約:有機農業は、科学的な肥料や農薬を使用しないため、収穫量が通常の農業に比べて少なくなることがあります。これは、一部の有機農産物が季節限定であるのが理由の一つです。
- 外観の違い:有機農産物は、自然のリズムに従って育てられているため、外観が通常の農産物と異なることがあります。形や色が不均一であることがありますが、味や栄養価には変わりありません。
- 保存期間の短さ:有機農産物は、保存期間が通常の農産物と比べて短いことがあります。これは、防腐剤や保存料を使用しないためです。
これらのデメリットを考慮しながら、有機農産物を選ぶかどうか判断する際には、個々の優先事項や価値観を考慮することが大切です。
5.オーガニック(または有機)食品が注目される理由
- 健康志向と安全性
- 農薬や科学物質を一切使わずに生産されたオーガニック食材は、健康に配慮した選択肢として人気です。
- 農薬の残留を避けるため、オーガニック食品は安心して食べられると考えられています。
2.環境への配慮
- オーガニック農業は、自然のサイクルと環境に配慮した方法で行われます。
- 科学肥料や農薬を使わないことで、土壌や水質を保護し、生態系への負荷を最小限に抑えます。
3.持続可能な食料生産
- オーガニック食品の生産方法は、生物多様性や栄養素の循環を促進します。
- 有機農業は、持続可能な食料生産を目指す一環として注目されています。
4.エシカルなライフスタイル
- オーガニック食品を選ぶことは、環境保護や公正な取引を支持する意識の表れでもあります。
6.SDGsの観点から期待される効果
SDGs(持続可能な開発目標)において、有機農産物はいくつかの重要な効果を期待されています。
以下にその一部を紹介します。
- 環境への負荷の低減:有機農業は、農業の自然循環機能を増進し、農業生産に由来する環境への負荷を最小限に抑えます。化学肥料や農薬の使用を避け、土壌や水質の汚染を減少させることで、地球温暖化防止や生物多様性保全に寄与します。
- 食の安全性の向上:有機農産物は、科学的な肥料や農薬を使用せずに栽培されているため、農薬残留の心配が少なく、食品の安全性が高まります。
- SDGsの目標15「陸の豊かさを守ろう」への貢献:有機農業は土壌や生態系の健康を重視し、持続可能な農業を推進します。これにより、陸の生態系を保護し、生物多様性を守る役割を果たします。
7.オーガニック食品の消費について、世界と日本の比較
☆世界全体では、有機農業の取り組み面積が増加しており、2021年時点で約76,400万ヘクタール(転換中も含む)に達しています。20年前の有機農業面積(約1,500万ヘクタール)と比較すると、5倍以上に増加しています。
- 有機農業面積が最大な国はオーストラリアで、3,570万ヘクタールを占めています。オーストラリアは世界全体の約半分の有機農業面積を保有しています。
- 有機農業の成長率が高かった国は、中国(13.1%増)、フランス(8.9%増)、スペイン(8.1%増)です。
☆日本では、有機農業の面積はまだ広がっていません。日本の有機農地占有率は世界116位で、0.3%と低い水準です。
☆有機食品の売上高については、スイスやデンマークなどのヨーロッパ諸国がダントツで高く、1人当たりの年間有機農産物の消費額は約180~270ユーロ(約120円/ユーロ)です。同様にアメリカやオーストラリアも高い消費額を示しています。
オーガニック食品は、健康や環境に配慮した選択肢として、世界的に注目されています。
8.日本においてオーガニックや有機野菜が定着しない理由
1.経済的な要因
- 日本の平均賃金や可処分所得が伸び悩んでいることが影響しています。
- 低所得層がオーガニック食品を購入することが難しいため、普及が遅れています。
2.政策や法律の違い
- 欧米諸国ではオーガニックを推進する政策や法律が整っています。
- 一方、日本では公共調達や流通の工夫が不足しているため、普及が進まないことがあります。
3.消費者の意識と価格感覚
- 日本では、「意識が高い人のモノ」というイメージが強いことがあります。
- 価格の高さや品物の質に対する消費者の厳しいニーズが普及を妨げていることがあります。
4.農地面積と購買金額の差
- 日本の有機栽培の農地面積は欧州諸国に比べて非常に低いです。
- 一人当たりの年間有機食品購入額も日本は他国に比べて少ないため、普及が遅れています。
これらの要因を改善するため、政策的な支援や消費者の意識向上が必要です。
まとめ
オーガニックは、私たちの健康と地球の持続可能な未来に向けた重要な選択肢となっていると思います。出来る事から少しづつ始め、食の安全・環境への配慮に参加してみてはどうでしょうか。
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